FebriTALK 広川恵一

取材・構成を担当

第1回 ギャグやセリフの妙に惹かれた『魔法陣グルグル』

第2回 深夜アニメにハマるきっかけ『STEINS;GATE』

第3回 作曲家としての青春『Wake Up, Girls!』


広川恵一①『魔法陣グルグル』 | Febri

よくわからないんだけど、やっぱり面白い――この作品が放送されていたときは何歳ぐらいでしょう? 広川 小学校の低学年ですね。夜に放送していたのを見ていたんです。RPGのような冒険もののアニメではあるのですが、ギャグがシュールだったり変なネーミングだったりと、言葉のチョイスが自分の好みに合って、「よくわからないんだけど、やっぱ面白い」みたいな感じでハマりました。キャラクターやアイテムのデザインもシャレていて、民族衣装のようなモチーフが散りばめられていたり、魔法のステッキも、ちょっと毒々しくてサイケデリックなんだけど可愛いかったりして。 ――『魔法陣グルグル(以下、グルグル)』のギャグを楽しむだけでなく、デザイン面からも影響を受けたとのことですが、大学がデザイン系ということにもつながりますね。 広川 大学ではデザインを専攻していましたが、音楽は中学生から興味を持ち始めて、高校生から本格的な活動をしていました。今でもいちばん好きなジャミロクワイというイギリスのバンドがいるのですが、彼らは初期の頃はネオヒッピーのような音楽性で、アボリジニの民族楽器を使うメンバーもいたので、その趣味とも重ったのかなと(笑)。 ――好きなキャラクターはいましたか? 広川 やっぱりヒロインのククリが好きでしたね。その後の女性の趣味にまで影響を受けました(笑)。 ――ええっ!?(笑)。 広川 『グルグル』の主人公のニケはカッコいいのに、たまにドジだったりして、そんな彼に一途についていくククリがかわいかったんです(笑)。 ――『グルグル』は、当時いち早くRPGの“お約束”をパロディにしたところが魅力のひとつでしたが、その頃、ゲームはプレイしていましたか? 広川 『ドラクエ』と『FF』が5作目くらいまで出ていた頃かな? 友達がゲームをするのを見たり、自分でもプレイしていましたね。だから『グルグル』の作中で「ニケたちは旅立った」みたいにナレーションが入っていても、「こういう文化なんだ」と自然に受け入れられていたんだと思います。それにこういう演出は他のアニメにはなかったので、それもあって印象的な作品だなと思ったんです。 民族衣装のような モチーフやデザインも ちょっと毒々しくて サイケデリックだけどかわいい――ナレーションだけでなく、セリフやネーミングも独特ですよね。 広川 「キタキタおやじ」とか意味わから

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広川恵一②『STEINS;GATE』 | Febri

オタクカルチャーのブランクを一気に埋めた作品――次に挙げたのは2011年に放送されたTVアニメ『STEINS;GATE(以下、シュタゲ)』。このコンテンツはゲームや小説など広く展開されていますが、入ったのはアニメからですか? 広川 そうですね。友達の家で偶然見て、「これは面白そうだ」と思いました。それが第3~4話あたりで、話がちょうど動き始めるころだったので、原作のゲームを買ってプレイしつつアニメを見ながらハマっていきました。 ――どんなところがピンときたんですか? 広川 とにかくSFものが好きだというのがひとつ。「タイムマシンみたいなもの」というワードが飛び込んできて、気になったんです。それと『魔法陣グルグル』の頃は子供だから当たり前のようにアニメを見ていたのですが、中高時代は音楽をやっていたこともあって、ほとんどアニメに触れなくなってしまっていたんです。それが大学に入り、まわりの友達の影響もあって、徐々に深夜アニメというオタクカルチャーにハマっていったんです。 ――今の世代の学生は子供の頃から深夜アニメを見ていたりしますが、広川さんは夕方のアニメで一度「卒業」を経験した世代に当たるんですね。 広川 そういうことになりますね。作品の舞台になっている秋葉原にも興味がありました。それまで行ったことはなかったのですが「アニメの街になっているらしいけど、どんな場所なんだろう?」と。あと、深夜アニメに対して、偏見じゃないけれどもまだ色メガネで見る風潮があったなか、この作品はキャラクターも人間臭いし、頭身も普通の人間と同じように描かれていて、色合いも彩度が抑えめで大人っぽかった。主人公が大学生だったということも当時の自分と近くて、そこも引っかかったんだと思います。 ――一方で、彼らの話すネット用語やオタクのノリはどうでしたか? 広川 それもひとつ話がありまして。中高時代は軽音楽部に入って、表向きバンドをやっていたわけですが、その頃にパソコンを買ってもらって、「2ちゃんねる」を見ていたんですよ。だから、ダル(橋田至)の喋り方がちょっと懐かしいネットミームのように思えて(笑)。 原作へのリスペクトを感じて オタク心をわかっているなぁと 見事にハマりました――じゃあ『シュタゲ』は、いろいろな意味でブランクを一気に埋めるような体験だったのですね。 広川 本当にドハマリしちゃって。作中

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広川恵一③『Wake Up, Girls!』 | Febri

やりたいことに挑戦できる、作曲家としての喜びを感じた――『STEINS;GATE(以下、シュタゲ)』で深夜アニメを見始めた広川さんは、翌年にはもうアニメ音楽を手がける音楽事務所のMONACAに入ったわけですが、そのきっかけは? 広川 アニメの音楽をやりたいと思うようになったのですが、アニメ音楽とひと口に言っても、主題歌なのか劇伴音楽なのかによって、制作の方法がまったく異なるんですよ。僕は両方ともやりたいと思っていて、それができる会社を探していくなかでMONACAを見つけました。 ――音楽事務所のカラーというのは、どのように決まっていくのでしょう? 広川 「MONACAっぽくしなくては」みたいな意識は、ほかの作家も持っていないと思います。ただ、「いいな」と思うメロディーや音の使い方や技術、そういった価値観はみんなで共有しています。だからそれぞれで音楽を作っていても、事務所のカラーみたいなものが自然とそろうんじゃないかなと思います。 ――MONACAに入って、歌ものもやってみたいというアピールをしたのでしょうか? 広川 そうですね。最初から言っていました。アシスタントをしつつ勉強する期間が1年くらいあったのですが、その後、『Wake Up, Girls!(以下、WUG)』のお話が来て、参加をさせてもらえることになりました。 ――それまでアイドルソングはよく聞いていましたか? 広川 モーニング娘。は流行っていたから聞いていたのですが、アイドル文化みたいなものは自分の近くにはありませんでしたね。 ――そんななかで、『WUG』にチャレンジするのはどんな気持ちでしたか? 広川 この作品は独り立ちをさせてもらって、かなり初期の作品でしたので、うれしかったし、気合も入っていましたね。最初は「こういう曲を作ってください」というオーダーに従って書いていくわけですが、だんだんとそれだけでは物足りなくなって、中盤以降はかなり考えて、工夫しながら曲を作っていきました。 ――作曲家としても成長のプロセスを踏んでいったわけですね。 広川 そうですね。メディアミックス的なアイドルユニットで、声優の子たち自身も現実世界で成長していくんです。なので、最初の頃は難しい曲は避ける必要があったのですが、彼女たちのパフォーマンス力が上がるにつれて、「次はこういう曲もできるんじゃないかな?」と挑戦できる曲にしま

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日詰明嘉 AKIYOSHI HIZUME

進学塾講師業、アニメWeb媒体記者を経て、2009年よりフリーランスのライターとして活動開始。 アニメ、アニソン、声優、CGの記事を雑誌、書籍、Web、オフィシャルパンフレット、ブックレットなどに寄稿しています。 このブログは仕事履歴を記録したものです。 2018年より一般社団法人フリーランス協会会員。

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